今日も思考は垂れ流し

略して、KST。外資系企業のSEによる推敲しない落書き、的な。

客先常駐SEを配するSIerの将来について

なんか、SIerの仕事、飽きた。

 

新興ユーザ企業とかだと、内製化に進めようと気合入っているようだし。そろそろ業種として役割は終わり始めているのかねーと思い始めた今日この頃。

 

というわけで、今回は日本のSIベンダーの一部は何故、客先に常駐する形態なのか整理してみようと思う。

 

システム部の内製化は本当にあるべき姿なのか、という自分の疑問に対する一つの回答になるといいなと思う。


 

ユーザ企業の目線から

 

まずは、顧客であるユーザー企業のシステム部の状況から確認してみた。顧客がカスタム製品を頼むにもかかわらず、SIerを常駐で雇うのは以下の理由が大きいように思う。(経験論だけど)

 

1.人員の増減の吸収

日本はまだ終身雇用の力が強いからね。急に人を入れたり、捨てたりはできないので、吸収素材が必要なんだと思う。

 

2.単価の低減

なんだかんだで、「システム化戦略を立てられる上級SE=システム部員(笑)は単価が高い扱いになっている。だから、単価の安いPGなどやらせられるか」という思想があると思う。 

↑「PGの単価が安い」については業界によりけり。法人のレガシーな事務システムなら、新しい技術を使う機会は少なく、エリートPGは不要である(という風潮だと思う)。ウォーターフォールでやる限り、(システム/ソフトウェア)アーキテクチャがしっかりしていれば、ある程度のものはできるからね。WEBやゲームの開発とは違うのです。

 

3.他の事例に基づく、新しい提案

他の事例があるにもかかわらず、新しいというのが矛盾な感じだけど、日本企業では実績があってイケてそうな案件を探しているのだ。間違ってもチャレンジなどしない(私の周りのプロジェクトでは)。その辺、海外と色が違う気がするけどね。

一方で、システム部は自前のシステムしかわからないから(実際は、自前のシステムすらわからないことが多い)、SIerに業界のトレンドや、他社の最新鋭のシステム案の情報を入手したい。だったら、各社の営業に頼めよ、というところなのだが、どこの馬の骨ともわからん人間に聞いても、どこまで信じるに足るか判断できず、もしかしたら、だまされるリスクがある。そんな中、常駐しているSEは普段の仕事ぶりがわかっており、長期的な付き合いがあるから、簡単には嘘がつけないという状況であるため、有力な情報源となる。
 

SI企業の目線から

SI企業の目線から、上記の顧客ニーズにこたえるメリットについて考えてみる。ここで売り上げにレバレッジがかかる要素がないと奴隷業種としての価値しかないことになって、業界的にはもうオワコンだと思うのです。

 

 1.人の増減の吸収するサービス提供側のメリット

価値を提供しているけど、派遣とかわらない気がするから、売り上げ貢献に持っていくにはメリットが薄い。人=単価=売り上げとなるから、人の数でしか売り上げがあがらず、レバレッジが効かない。

 

2.単価の低減に対応できるサービス提供側のメリット

価値があるなら、高い単価でサービスを提供することができる。なのでメリットは高い。ところが、客先常駐にすると、顧客の目の前で働くので、単価に見合う能力があるのか判断されることになる。つまり、能力の低い人間を雇うことができず、簡単に単価を吊り上げることができない。

もちろん、同一企業において人の能力に合わせて単価を変えることもできると思うが、企業が大きくなればなるほど購買間の取り決めとして標準単価の確定に流れていくのが現状だと思う。うーむ、これは課題だよなぁ。この課題を解決しないと、単価メリットをうまく享受できない気がする。

 

3.他の事例に基づく、新しい提案を行うサービスについて

これはサービスを行う際に以下の能力を持った企業はメリットがある。

3-1.パッケージ(HW/SW)を持っている

HW、SWは製造パターンが決まっており、売れば売るほど利益になる。特にSWは研究・開発コストは必ず初期コストがかかるが、売れる時期になると売れば、売るほど利益になる。この時期、常駐SEが顧客をうまくだまくらかして・・・じゃないや、適切なソリューション提案を行えば、顧客とWin-Winの関係を作りつつ、利益を得ることができる。

3-2.代替できない技術を持っている

レアケースしかないかと思うが、パッケージの拡張開発やコールセンターシステムにおける電話制御など、技術者を養い続けることが難しいケースである。このときは、2の抱き合わせ商法として、単価の吊り上げは可能になるが、高すぎるとパッケージ自身が捨てられる可能性が高くなり、攻めづらいポイントでもある。

 

というわけで、1や2はやれば売り上げ貢献という効果はあるんだけど、やっぱり奴隷商法な気がするのです。逆に言うと、3-1パターンでの商売ができる企業には価値があるということか。

まぁコンサルと開発を抱き合わせにするという亜種もあるけど、これも情報というパッケージを提供する形として考えると、大区分としては3-1と同じかなと思っている。

 

SI企業の目線から(その2)

というわけで、業界的にはパッケージベンダーが◎なのだということがわかった。あーよかった。将来は真っ当そうだ。

 

パッケージベンダー企業の客先常駐SEはパッケージを売っている限り、なかなか食いっぱぐれることはない。もっとも、競合となるパッケージがあればコンペに負ける可能性はあるが。

 

とはいえ、顧客側に要件をまとめる能力がない場合、常駐ベンダーが適切な提案をしていれば新規参入ベンダーに負けることはないと思う。そのための楔として、常駐SEがいるんだろうな、と分析。

 

本来、提案待ちフェーズは、常駐SEのいる企業と、新規企業に与える情報は同じ要件情報であることが原則であるが、経験上、顧客と長く付き合っている常駐SEの経験値に勝るものは無い。

 

要約すると、パッケージベンダーはパッケージが売れるとウハウハ。パッケージを売るために有利なのが、客先常駐SE。

チャリンチャリンビジネスなわけだ。こんなにおいしい仕事は無い。

こう見ると、常駐SEを配するパッケージベンダーの将来は安泰に見える。

 

とはいえ。。。

客先常駐SE自身の生活が幸せなのかは別問題である。しかも、自分の中に何か違和感があるので、今後、整理しようと思う。

 

とかとか。

 

と思った次の瞬間にはまとめたのであった。⇒これ

 

<余談> 

パッケージで単価が上げて、というのは1手法であり、薄利多売戦略もあるけどね。その場合は、先の論拠はその限りではないことになるけどね。要はスタンスの問題。

ただ、前者の方が捨てられにくく、長期的なアプローチが取れる分、個人的には好きだけど。